パリオリンピックでも問題になっていたSNSでの誹謗中傷。
SNSは気軽に人と繋がれる便利なアイテムである半面、
人の人生をいとも簡単に狂わせてしまう恐ろしいアイテムでもあります。
今回はインターネット上の誹謗中傷から人生が大きく狂ってしまった
スマイリーキクチさんについて調査します。
この事件には、「元警視庁刑事」北芝健さんも大きく関わっています。
スマイリーキクチ中傷被害事件
「スマイリーキクチ中傷被害事件」とは芸人のスマイリーキクチさんが、
とある殺人事件の容疑者ではないかという噂が流れ誹謗中傷が集中。
いわゆる炎上してしまった事件です。
とある殺人事件というのが1989年に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」です。
女子高生コンクリート詰め殺人事件
「女子高生コンクリート詰め殺人事件」は少年犯4人が帰宅中の女子高校生を拉致監禁。
40日間にも及ぶ監禁と暴行により死亡させてしまいます。
その後犯人たちは事件を隠蔽するため
ドラム缶の中にコンクリート詰めにして被害者を遺棄した
という類を見ない凶悪犯罪です。
詳細が知りたい方は覚悟を持って調べてみてください。
かなり胸糞な事件です。
犯人にされた理由
何故スマイリーキクチさんが犯人だという噂が広がってしまったんでしょうか。
それにはいくつかの理由がありました。
いたずらで書き込んだ掲示板
この事件は少年犯罪だったため警察から実名は公表されませんでした。
そして事件を起こした少年たちの年齢がスマイリーさんと同年代で出身も同じ東京都足立区、
そしてスマイリーさんは昔ヤンキーだったことを自ら公言していたこと。
そんな事情の中いたずら半分に
ネット掲示板「2ちゃんねる」
にスマイリーさんが犯人の一人だという書き込みをいたずら半分でした人間がいました。
これが1つ目の理由。
元警視庁刑事という肩書
次は元警視庁刑事の北芝健さんの著書によるものです。
北芝さんは2005年に日本の凶悪犯罪を伝え、警察司法の改造案を説いた
「治安崩壊」という著書を出版します。
その本の中で女子高生コンクリート詰め事件にも触れ犯人についてこう書いています。
「犯人の1人は出所して お笑いコンビを組んで芸能界でデビューした」
実際にスマイリーさんは1993年にお笑いコンビとしてデビューしています。
しかし、この記述に根拠はありませんでした。
北芝さんも後に「スマイリーキクチさんのことを書いたわけではない」と言っています。
しかしネット住民にしたら元警視庁刑事からお墨付きをもらったようなもの。
こんなに美味しいネタをほっとくわけがなく再炎上しました。
これが2つ目の理由。
いずれもたった一人による掲示板への書き込み。
たった一人の著書への執筆。
そこからスタートしているんです。
歪んだ正義感
何故広がったかの3っつ目にして最大の理由は
「ネットリテラシーが乏しい一般人が
SNSや本の情報を鵜呑みにして拡散したこと」
ではないでしょうか。
後に逮捕者を出すこの事件ですが口を揃えていうのが
- 「ネットに書いてあった」
- 「掲示板で見た」
- 「元刑事が本に書いているんだから間違いない」
- 「殺人犯を懲らしめるのが悪いことなのか」
といった自分は悪くない、あの人がそう言っていたから。
ネットに書いてあった。
殺人をしたんだから非難されて当たり前。
みんなそこら辺に落ちているネットの情報一つで
殺人予告をしたり誹謗中傷を書き込んだりしているんです。
しかも自分は正しいという歪んだ正義感で。
「治安崩壊」にも事実なし
実際のところは女子高生コンクリート詰め事件の犯人の中に
スマイリーさんの本名である「菊池」という人物はいませんでした。
これは当時週刊誌が事件の重大さを鑑みて実名報道をしたことにより
早い段階からわかっていました。
少し調べれば一般の人でもつかめた情報です。
また北芝健さんが著書の中に書いている犯人の一人がお笑い芸人としてデビューした。
というのも全く事実無根であり本人4人の中にお笑い芸人になった人はいませんでした。
北芝さんが何を根拠に本を書いたかはわかりませんが、
北芝さん自身もネットの中の偽情報に踊らされていたのかもしれませんね。
2024年現在も北芝さんからスマイリーさんに謝罪や説明はないそうです。
スマイリーキクチさんの現在
現在のスマイリーさんは芸人活動の傍ら
ネットリテラシーについて全国で講義をしています。
ご自身の経験を元に
「言葉の責任」「ネットの怖さ」「誹謗中傷」
についての講演会を実施しています。
10年以上立った今でもスマイリーさん宛に殺害予告や誹謗中傷が届くそうです。
今でもネットの『嘘』を信じて間違った正義を振りかざす人がいるんですね。
まとめ
今回はインターネット上の誹謗中傷から人生が大きく狂ってしまったスマイリーキクチさん。
そしてこの事件に大きな影響を与えた「元警視庁刑事」北芝健さんについて調査しました。
軽い気持ちでやったことがいつまでも「デジタルタトゥー」として残る時代。
世界と繋がるインターネット。
便利になった反面使う側のモラルが試される時代ですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。